新年、明けましておめでとうございます。
北浦和 よしの歯科クリニックです。
本年もスタッフ一同、宜しくお願い致します。

さて、新年、最初のコラムは、お口の中の口腔細菌叢(お口の中に存在する細菌の集まり)につで述べていきたいと思います。
皆さんは、この口腔細菌叢がいつから形成され何歳くらいで大人のお口の中の成熟した口腔細菌叢になるのかご存知ですか？
今回は、いったい我々は、何歳くらいで大人の口腔細菌叢を形成するのかについて述べていきたいと思います。何故かと云うと、もしも、それが分かれば、早期に虫歯や歯周病を起こし易い口腔細菌叢を阻害し、生涯に渡りこれらの疾患を予防、又は起こし難くすることが可能だからです。
そこで、2024年の暮に発表された下記の論文を取りあげてお話ししていきます。

“Oral Microbiota Development in the First 60 Months: A Longitudinal Study
K Yama et al. J Dent Res. 2024 Nov.”

この研究は、口腔内細菌叢の主な構成細菌が検出可能となる時期と口腔内細菌叢の構成が成人のそれに類似する時期を調査することにより、小児に関する口腔内細菌叢形成の進展を明らかにすることにある。

試験方法)
1)子供(54名)とその両親を対象に縦断研究を行いました。2)口腔細菌叢を構成する主要な細菌の検出時期を調査しました。3)細菌叢の類似度評価指標(Weighted UniFrac 距離)を用いて大人に類似する時期を調査しました。

主な研究結果)
•大人の口腔細菌叢を構成する主要な菌種のうち、約8割が1歳半で、約9割が3歳で検出された。
•1歳半までに大人の口腔細菌叢に大きく近づき、3歳から5歳にかけて有意な変化は確認されなかった。さらに、5歳での大人との細菌叢の類似性は、大人同士の細菌叢の類似性よりも近いことを確認した。

結論)
3歳までの期間は将来の口腔細菌叢の基盤を確立する重要な時期であることが示唆されました。

このように、1歳半までに口腔細菌叢の形成が急速に進み、虫歯や歯周病に関係する細菌も構成細菌種に加わる事が分かりました。そして、それは3歳までに大人と同じ口腔細菌叢の形成が続きます。すなわち、この3歳頃までの口腔細菌叢が生涯に渡り健康な口腔内を維持するために重要なのです。また、これまでの研究で虫歯に関係する細菌は食習慣や両親のお口の状態が子供の口腔内と密接な関係が指摘されています。また、歯周病の細菌に関しても同様に両親から子へ細菌の伝播が指摘されています。従って、3歳までできる限りお子さんの口腔内環境を清潔に保ち、両親の口腔内環境も同時に清潔に保つことが、お子さんが将来的に虫歯や歯周病になりにくいお口作りに欠かせません。
勿論、たとえ虫歯や歯周病になり易い細菌叢が3歳までに確立してしまってもあきらめないで下さい。その後の予防処置でいくらでも虫歯も歯周病も予防が可能です。

歯周病でお困りの方、一度歯周病専門医を受診してはいかがでしょうか。