歯周組織再生療法
periodontal tissue regenerative therapy〒330-0061 埼玉県さいたま市浦和区常盤10-10-14(北浦和駅西口 徒歩5分)
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歯周組織再生療法
periodontal tissue regenerative therapy
歯周病によって生じた歯周組織の隙間(歯周ポケット)に発生している歯周病原菌の塊り(プラーク)や、歯石を除去すると歯周ポケットが浅くなり歯周病から回復へと向かいます。しかし、歯周病原菌によって失われた歯を支えている歯周組織が元の状態に回復したわけではありません。
歯周組織再生療法は、歯周病で失われた歯周組織を再生し、歯の支持構造を取り戻す事を目的とする歯周病治療です。
これまでの歯周病治療では、失われた歯周支持組織のために抜歯を余儀なくされる場合でも、歯周組織を再生させることでその歯を保存・維持させることが可能になります。また、歯周病が完治しても歯周病の影響で歯茎が下がってしまっているため、歯が長く見えてしまう欠点がありました。歯周組織再生療法は歯の支持組織の骨と歯肉を共に再生させるため、審美性の回復効果にも期待されています。
これは、1982年にスウェーデン王立イエテボリ大学のNyman博士とKarring博士らにより、歯根膜由来の細胞が歯根表面に到達・増殖することで歯周組織の再生が生じるとする仮説に基づき、ヒトにおいて遮断膜(GTR(Guided Tissue Regeneration)膜)を用いて、実証試験を行い世界ではじめて歯周組織が再生されることを証明し臨床応用されました。これを歯周組織再生誘導法(Guided Tissue Regeneration method:GTR法)と呼びます。
その後、さらに歯周組織再生療法の基礎・臨床研究が進み、いくつかの異なる歯周組織再生療法が臨床応用されるようになりました。
現在、臨床応用されている歯周組織再生療法には、1)骨移植術、2)歯周組織再生誘導法(GTR法)、3)エナメルマトリックスタンパク質(製品名:エムドゲイン)、4)塩基性線維芽細胞増殖因子(basic fibroblast growth factor: FGF2;製品名:リグロス)、5)その他の生物学的生理活性物質を応用した手術などが挙げられます。



失われた骨の欠損部へ骨移植材料の補填を行い、歯槽骨再生とそれに伴う歯周組織の安定と歯の支持を増強することで機能や審美性の回復を行う。移植材には、自家骨、他家骨、異種骨、人工骨などがある。
さまざまな骨欠損の状況に応用が可能で、これらの材料で失われた歯槽骨の新生を促す治療です。

GTR法は、歯周病によって狭く深く失われた歯周組織を再生させる治療方法です。
歯周病によって、歯周組織に隙間(歯周ポケット)が発生すると、自然治癒力によって隙間を埋めようとします。しかし、歯槽骨や歯根膜繊維などの歯を支持組織の再生速度よりも歯肉の上皮組織の回復が速いため、支持組織の再生を上皮組織が邪魔をしてしまい、歯周組織を再生することが難しくなってしまいます。
GTR法は外から無駄な組織が入ってこないようにメンブレンを設置することで、歯周病で損なわれた歯周組織の再生を行う歯周病治療です。抜歯を行わないだけでなく歯周病で損なった審美性を取り戻す事に期待が持てる歯周病治療です。

幼若な豚の歯胚から抽出・精製したエナメルマトリックスタンパク質を主成分として、幼少期の歯の発生過程の研究から生まれた歯周組織再生療法で、比較的に狭く深く歯周組織が失われているところに用いられます。通常の再生速度では汚れが入り込んでしまい歯周病で失われた歯周組織の自然治癒は望めません。
しかし、エムドゲインは歯周組織の再生を活性化し、歯周組織の再建を行う事が可能です。そのため、従来の治療法では抜歯を行う症状の歯周病の改善が望めます。また、歯周病で損なわれた、歯周組織の主に骨の再生を行うため、歯茎が持ち上がり歯周病の影響で長く見える様になった歯が正常な見え方になり審美性を回復させる事にも期待が持てる歯周病治療です。


FGF -2は、創傷治癒を促進させる細胞同士の情報伝達を助けるタンパク質で、創傷治癒に関わる細胞の増殖や新たな血管を誘導し、歯周組織の再構築をするための局所環境を整えることで失われた歯周組織の再生が促進・活性化されます。この再生療法も上記のEMDと同様に信頼されている歯周組織の治療法です。

これらの再生療法の用途は、患者様の歯周組織の状態によりそれぞれ用いられる再生療法が異なります。
以下では、日本で一般に入手可能な歯周組織再生剤を用いた術式を説明致します。


