インプラント周囲炎治療
peri-implantitis〒330-0061 埼玉県さいたま市浦和区常盤10-10-14(北浦和駅西口 徒歩5分)
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インプラント周囲炎治療
peri-implantitis
インプラント周囲疾患とは、インプラントの周囲組織に炎症が起こる疾患で、歯周病と同じ細菌感染症の一種で、歯面ではなくインプラントの表面に付着した細菌性プラーク・バイオフィルム(歯垢)が原因で起こります。インプラントは深部では骨が周囲に存在し、浅い部分では歯肉粘膜に接して存在します。インプラントの周囲が適切に清掃されていないと、インプラントの表面と骨の部分で、インプラントの歯周病が生じはじめます。これらの細菌が炎症を起こすことで、やがて歯槽骨が破壊されてインプラント周囲の骨吸収を起こします。このインプラント周囲疾患は、インプラント周囲粘膜炎とインプラント周囲炎の2つの異なる炎症性病変に分けることができます。初期のインプラント周囲組織の炎症性病変は、インプラント周囲粘膜炎と呼ばれ、インプラント周囲粘膜からの出血と腫れを特徴とし、骨の吸収は伴いません。治療も比較的容易に治癒が望めます。これは、歯では歯肉炎にあたります。インプラント周囲粘膜炎が、さらに進行すると、インプラント周囲炎へと炎症性病変は重症化し、さらに病状は進みます。これは、インプラント周囲の骨の吸収を伴い、治療は困難を伴います。歯では、歯周病(歯周炎)にあたるものです。(Berglundh T et al. 2018)
インプラント周囲炎は歯周病と同様に明らかな痛みを伴わない場合が多く、自覚症状が現れにくいのが特徴です。
インプラント周囲に炎症が起こることによって、歯肉が赤みを帯び腫れが見られるようになります。また、歯磨きの際や、腫れた部分を押すことで歯肉から出血することもあります。
インプラント周囲にポケットが形成され、その歯肉の深い部分、骨が破壊された部分に細菌が感染して炎症が進むと、膿が出てくるようになります。いわゆる排膿が見られるようになります。
インプラント周囲の歯肉や歯槽骨の破壊がはじまると、歯肉が下がり、いわゆる歯肉退縮が起こります。歯肉が徐々に下がると、インプラントの上部構造である歯の部分が露出し見えるようになり、インプラントのいわゆる歯の部分が長く見えるようになったり、従来は歯茎の下に隠れていないといけないインプラントとの接合部や従来は骨の中に入り、見えないはずのインプラント自体が露出して見えてくる場合もあります。
インプラント周囲の骨の破壊(骨の吸収)が進むことによって、インプラントが周囲の骨に固定されない状態になります。放っておくと徐々にひどくなり、抜け落ちてしまうこともあります。
インプラントの撤去
インプラント周囲炎を発症してしまった場合、自然治癒することはありません。適切な治療を早期に進めていくことが大切です。インプラント周囲炎の治療では、インプラント表面に付着してしまった細菌性プラーク・バイオフィルムを表面から取り除くことに重きを置きます。原理的には、歯周病の治療と同じです。しかしながら、多くの場合、インプラントの形状や埋入位置により治療が極めて困難となります。ですから欧米では、専門知識のある歯周病専門医がインプラントを含むインプラント周囲炎の治療を行います。
インプラント周囲炎の治療には、非外科的治療と外科的治療があります。比較的初期で症状の軽いインプラント周囲炎の場合は、インプラント周囲粘膜縁上、縁下の細菌性プラーク・バイオフィルムの機械的除去のみの非外科的治療で治癒します。しかし、進行した重度のインプラント周囲炎の場合は、手術をしてインプラント表面からこの細菌性プラーク・バイオフィルムを外科的に取り除く必要があります。
よしの歯科クリニックのインプラント周囲炎の治療は、スウェーデン王立イエテボリ大学の治療コンセプトに基づき治療が行われます。
尚、レーザーを用いたインプラント周囲炎の治療は、ヨーロッパ歯周病学会のガイドラインでは科学的根拠の低さから推奨されておりません。(Berglundh T et al. 2018, 2022)
これらの因子は、インプラント周囲炎の進行と治療に影響を及ぼすことが示されています。(Derks et al, 2016)