こんにちは、北浦和 よしの歯科クリニックです。
私は毎朝、通勤電車に揺られながら感じることがあります。それは、車内の見知らぬ人から発せられる口臭です。皆さんは、同じように感じたことはありませんか? 特に男性からの口臭が大半を占め、様々な種類の口臭の臭いがあります。しかし、その多くの口臭は、歯周病原菌を培養(実験でこの細菌を増やした時)した時に細菌が出すガスと同じ臭いの悪臭です。最近では、通勤電車内も女性が半数を占め、男性ほどではないけれど男性と同様に女性からの口臭も気になることが多くなりました。
そこで、今回のコラムでは、お口のやな臭い、口臭について2回に分けて解説していきたいと思います。
口臭の約85%は口腔内(お口の中)の状態、すなわち、不十分な口腔衛生、歯周病、舌苔(舌表面に付着した細菌や食べカスを含む汚れ)に起因すると考えられています。その他、10%は耳鼻咽喉科的要因、5%は消化器系・内分泌系の疾患によるものと考えられています。また、これとは別に口臭恐怖症などもあり、精神的または心理的な問題が関与することもあります。
Saito and Kawaguchi (2002)の日本の口臭に関する約三万人の成人を対象とした大規模調査では、約15%の人が口臭に悩まされていると回答し、東京のサラリーマンの約70%の人が、口臭を自覚していることが分かっています。
口臭の発生頻度に関しては男女差は無く、女性の方が男性よりも早く専門医の診察を求める傾向が示されています。
そして、ここで非常に重要なことは、Miyazakiら (1995)の研究で、年齢と口臭の強さには相関性が認められ、年齢が高くなるほど臭いの強度が増すことが示されていることです。この理由は、若年者では舌苔(舌の汚れ)が、これに対して中高年者および高齢者では、舌苔に加えて歯周病が口臭の主因だからです。
つまり、30才以上の年齢の人では、社会的エチケットの観点から、歯周病の検査と予防管理が望ましいことが分かります。ですから、この年齢にあてはまる人は、歯周病専門医を受診する事を強くお勧め致します。
次回、口臭(その2)では、もう少し深掘りしていきたいと思います。
口臭が気になったら、一度歯周病専門医を受診してみてはいかがでしょうか。
1)Saito H, KawaguchiY.
Halitosis preventioncampaign: a report of oral health promotion activities in Japan.
Int Dent J 2002; 52(Suppl 3): 197–200.
2) Miyazaki H, Sakao S, Katoh Y et al. Correlation between volatile sulphur compounds and certain oral health measurements in the general population.
J Periodontol 1995; 66(8): 679–684.
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