歯無しのはなし48【口臭 その2】

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歯無しのはなし48【口臭 その2】|よしの歯科クリニック|さいたま市北浦和駅の歯医者・歯周病専門医

こんにちは、北浦和 よしの歯科クリニックの吉野です。
今回も、前回に引き続き口臭について述べて行きます。宜しくお願い致します。

口臭の主な原因は、歯周病原菌などの口腔細菌が出す揮発性硫黄化合物(VSC)のガスです。; 代表的なものに硫化水素(H₂S), メチルメルカプタン(CH₃SH),ジメチルサルファイド((CH₃)₂S)などがあります。この他に、アンモニアなども細菌から作られる口臭の原因です。
したがって、口臭と歯周病の間には相関性があります。すなわち、歯周ポケットの深さが深くなると、口腔内のVSCガスの濃度が高くなることが分かっています。さらに、舌苔を考慮すると、その相関性はさらに強くなります。

口腔内に口臭の原因がある場合の治療方法は、微生物(細菌)の機械的除去、化学的抑制、または、口臭のマスキングなどがあります。
特に舌が最も顕著な口臭の要因であり、徹底した舌清掃が極めて重要となります。
van der Sleenら(2010)のシステマティックレビューでは、慢性的な口臭に対する機械的舌清掃の効果に関するデータは不十分ではあるけれど、舌ブラッシングまたは舌スクレイピング(舌クリーナー)による舌の清掃が口臭と舌苔を有意に減少させることを報告しています。
また、通常の歯磨きと機械的舌清掃との併用も歯垢や口腔内細菌のコントロールに不可欠であることが示されています。
しかし、歯周病が主な原因の一つである場合には、専門的な歯周治療が必要です。
さらに、洗口剤による化学的アプローチも口臭の治療として一般的に用いられています。代表的なものに、クロルヘキシジン(CHX)洗口液があります。
この洗口液は舌上の口臭の原因菌を減らし、口臭の原因物質の硫黄化合物を中和する効果があります。但し、口臭に対する洗口剤の有用性に関しては、更なるより大規模で長期的な調査研究が必要です。また、口腔内の細菌が薬剤耐性を獲得しないために、殺菌剤等の長期利用は避けるべきです。

これまで2回に分けて、主に口腔内に由来する口臭に関して述べてきました。驚く事に、全人口の4人に一人(約25%)が何らかの形でこの口臭を経験しています。そして、この口臭は歯周病原菌とも関連していることを述べてきました。ですから、社会的エチケットとして、口臭にも気を配り、定期的に歯周病の検診を受診されることを強くお勧め致します。
ではでは。

口臭が気になったら、一度歯周病専門医を受診してみてはいかがでしょうか。

1) van der Sleen MI, Slot DE et al.
Effectiveness of mechanical tongue
cleaning on breath odour and tongue coating: a systematic review.
Int J Dent Hyg 2010; 8(4): 258–268.

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