こんにちは、よしの歯科クリニックです。
今回のコラムは、プロバイオティクスについて述べてみたいと思います。
皆さんは、”プロバオティクス”て聞いたことありますか?これは”プロ=共に”および”バイオシス=生きる”と云う語源からもたらされた用語です。つまり、”プロバイオティクス=共に生きる“と云うことを意味してます。
これは、1989年にFullerにより”腸内細菌を改善することにより宿主の健康に良い影響を与える生きた微生物”と定義されました。
身近なところで、”乳酸菌”や”ビフィズス菌”などがそれにあたります。もちろん、いくつか要件があります。
プロバイティクスの要件
1)安全性が確立されていること
2)もともと身体(宿主)の腸内細菌であること
3)胃液、胆汁などに耐え生きたまま腸内へ到達できること
4)下部消化管で増殖が可能であること
5)宿主に対して有用効果が発揮できること
6)食品などの形で有効な細菌数が維持されること
7)安価•容易に扱えること
などを満たす必要があります。
一般的には、腸内細菌を改善することにより身体の健康を維持•増進する目的で使われていました。
しかし、近年、お口の中(口腔内)の病気に対して使う試みが行われています。特に歯科ではロイテリ菌などの腸内細菌を用いたプロバイオティクスが一般に販売•利用されております。これは、お口の中に無害の細菌を定着させ虫歯や歯周病になりにくいお口の細菌環境を整えることで虫歯や歯周病などの治療を速やかに改善させる目的でプロバイオティクスの有効性を調べた研究が多数行われています。
そこで、今回のコラムでは、実際にこのプロバイオティクスを歯周治療に応用した場合にどのような効果や結果が見られるのか論文を含めて述べたいと思います。
下記のランダム化比較試験を見ていきたいと思います。
Randomized Controlled Trial
Microbiological and clinical effects of probiotics and antibiotics on nonsurgical treatment of chronic periodontitis: a randomized placebo- controlled trial with 9-month follow-up
Alicia Morales et al. J Appl Oral Sci. (2018)
これは、歯周病の治療にプロバイオティクスと抗生物質を用いてそれぞれの効果を比較検討したものでする。
試験は、
1. プラシーボ(効果のない偽薬) + 歯周治療
2. プロバイオティクス(Lactobacillus rhamnosus SP1 菌) + 歯周治療
3. 抗生物質(アジスロマイシン= ジスロマック) + 歯周治療
これら、3つの方法で歯周治療を行いどのような改善が見られるのかを評価するために歯周ポケットの深さなどの臨床診査および細菌学的検査が9ヶ月間比較検討されました。(*通常の歯周治療は1番目の方法)
その結果、この3つのどの方法も予後(臨床検査値)は同じであることが示されました。
つまり、プロバイオティクスや抗生物質を用いない通常の歯周治療でも十分な効果が期待できることが分かりました。
さらに、今回は2019年にJournal of Clinical Periodontology誌(ヨーロッパ歯周学会誌)に掲載された論文を見て行きたいと思います。
Randomized Controlled Trial
A double-blind, paralleled-arm, placebo-controlled and randomized clinical trial of the effectiveness of probiotics as an adjunct in periodontal care
George Pelekos et al. J Clin Periodontol. (2019)
これは、一般に入手可能なロイテリ菌を含有したプロバイオティクスを歯周治療に利用した比較試験です。
試験は、
1. プロバイオティクス(Lactobacillus reuteri= ロイテリ菌入りトローチ) + 歯周治療
2. プラシーボ (効果のないトローチ) + 歯周治療
この2つの方法でどのような違いがあるのかを6ヶ月間検討して行きました。(*通常の歯周治療は2番目の方法)
その結果、この試験でも通常の歯周治療がプロバイオティクス(ロイテリ菌)を応用したものと同等の治療の改善が認められました。つまり、プロバイオティクスを利用する有益な根拠となリえませんでした。
これら2本の研究論文からは、プロバイオティクスや抗生物質が”通常の歯周治療”よりも優れていることは無さそうです。
事実、お口の中に定着していない細菌を新たに定着させるには長期の時間と細菌数が必要です。つまり、新たな細菌を既存の細菌の集団に定着させ環境適応させるのは非常に難しいことなのです。これは、我々が火星に移住し定住するよなものなのです。
また、さらなる調査研究が必要なことも事実ですが、今のところ通常の歯周治療のみで十分な効果が発揮されると云うことです。
我々はある商品に付加価値を付けることによりその商品を良く見せたり、他にはない特別な効果を期待してしまうものです。
この複雑な情報化社会で正しい歯周治療を受けるために歯周病専門医に診てもらうことも必要なのかも知れません。
WEB予約
