こんにちは、北浦和 よしの歯科クリニックです。
皆さんは、我々が毎日使っている歯ブラシの汚れについて気にしたことがありますか?
おそらく、何気なく使っているけど、歯ブラシの汚れや細菌汚染について深く考えた事が無い人が大半ではないかと思います。
実は、その汚れた歯ブラシから虫歯菌や歯周病原性細菌(歯周病を発症させる細菌)が拡散する可能性があるのです。
そこで、今回は2024年2月に発表された、歯ブラシの細菌汚染について、網羅的に文献収集が行われ、ある一定の水準の研究結果を分析•統合し評価した下記の最新の論文を取り上げます。
An updated systematic review on toothbrush contamination: An overlooked oral health concern among general population
Shahrukh Ali Khan et al. Int J Dent Hyg. (2024) Feb.
この論文は、”歯ブラシに関する細菌汚染状況やその除菌方法”などについて、687本の論文の中から15本の論文を厳選し分析•評価したものです。
結果)
新品の歯ブラシの使用後に、虫歯菌、歯周病原性細菌、大腸菌、真菌などを含む様々な細菌が歯ブラシに付着•増殖し生存し続ける事が明らかとなりました。また、私が卒業したスウェーデン王立イエテボリ大学から発表された研究では、虫歯菌(S.mutans菌)を多く保菌している人が使用した新品の歯ブラシと歯磨き粉から虫歯菌が検出されました。この事から、細菌汚染した歯ブラシや歯磨き粉による人から人への細菌伝播の可能性を示唆しています。さらに、以前の多数の研究で、細菌汚染した歯ブラシによって疾患に感染させる可能性が支持されています。Ferreiraら(2012)の研究では、長期的に同一歯ブラシを使用すると、その歯ブラシの細菌汚染が増加することが分かりました。つまり、細菌汚染した歯ブラシを使用し続けると下気道感染、心疾患(感染性心内膜炎)、関節炎、菌血症や脳卒中などの重篤な全身疾患なども助長する可能性があります。
次に、歯ブラシの保管についてですが、この歯ブラシの保管環境が歯ブラシの細菌汚染に影響を及ぼします。Da Silvaら(2014)が行った実験では、歯ブラシを乾燥させるために、通気性の良い場所で汚染歯ブラシを48時間室温で保管した場合、乾燥時間の経過に伴い細菌数の減少が認められました。さらに、この実験では、保管場所の湿度の上昇に伴い歯ブラシ上の細菌数も増加傾向を示し、完全にプラスチックのキャップで歯ブラシヘッドを覆うと細菌の増殖を助長することが分かりました。
Pesevskaら(2016)の実験では、被験者が1ヶ月間使用したすべての歯ブラシ(100%)に細菌汚染が認められ、そのうち85%の被験者は、歯ブラシをトイレ付きバスルーム(浴室)で保管していた事を報告しています。また、Monteroら(2012)は、水洗トイレからもたらされたエアゾール(空気中に浮遊する汚染物質)によってバスルーム(浴室)に保管した歯ブラシが非常に多くの大腸菌(腸、結腸、便などの指標菌)に汚染していた事を明らかにしました。さらに、他の研究では、たとえトイレ付きバスルームの引き出しや戸棚に歯ブラシを保管しても、トイレのエアゾールから歯ブラシの細菌汚染を防ぐことができない事を報告しています。
では、その除菌方法は?これに関しは、多数の研究で調査されています。その中で、歯ブラシの最適な保管方法を知る歯学部の学生を対象に行った調査では、91%の学生の歯ブラシが汚染されていました。そして、歯ブラシ毎に0.12%CHX(クロルヘキシジン)溶液スプレーを使用すると、細菌数が著しく減少する事が分かりました。また、CHXスプレーを1回のみ使用でも、ある程度の効果が認められました。このことは、幼稚園児を対象にした調査研究でも同様の効果を示しました。
まとめ)
歯ブラシは、基本的に1ヶ月に一度は、新しい歯ブラシに交換する事を推奨します。長くても3ヶ月に一度は歯ブラシの交換をお願いします。特に歯周病の治療を開始して間もない患者様は、お口の中の歯周病原性細菌が増えていますので減るまではこまめに歯ブラシ交換をし、少なくとも1ヶ月に一度は必ず歯ブラシを交換するよにして下さい。また、全身疾患などリスクのある人は、歯ブラシの使用後にコンクールF(研究で用いられたCHX(クロルヘキシジン)より低濃度のCHX溶液)などの殺菌効果のある洗口薬液で殺菌することもオススメします。
最後に、歯ブラシは、風通しの良い場所で保管するように心掛けて下さい。
歯周病でお困りの方、一度歯周病専門医を受診してはいかがでしょうか。
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