
北欧には、虫歯学(カリオロジー)と云う長い伝統のある学問があります。たとえば、歯周病学や小児歯科学、矯正歯科学がそれにあたります。
この虫歯学は、虫歯予防(予防歯科)から歯の修復治療までの全てをカバーする学問体系です。その中でも特に、歯科予防に注力が注がれています。また、この虫歯専門医は他の診療科、例えば、歯周病専門医とも連携し一人の患者の虫歯に関する管理指導、および治療を行います。
先日、母校のスウェーデン王立イエテボリ大学の虫歯学科(カリオロジー科)からProf. Peter LingstromとDr. Carolina Bertilsson が来日し、セミナーが開かれました。Prof. Peter Lingstromとは久しぶりの再開です。セミナー終了後には、個人的に今の虫歯学(カリオロジー)のトピック、カリオロジー科の医局の話や元同僚たちの話、この数年でイエテボリ大学で変わった事など、様々な事について話をしました。
正直なところ、この虫歯学は歯周病と切っても切り離せないとても緊密な関係があるのです。特に今回のセミナーで強調されていたことは、予防先進国のスウェーデンは、世界で最も予防歯科で成功した国です。そして、イエテボリ大学予防歯科のアクセルソン教授が発表した30年間に及ぶ長期の歯科予防•メインテナンスに関する研究は余りにも有名ですが、このような歯科予防が進んだ国でも、若年者から中年者の虫歯発生率はかなりの減少傾向を示すものの、中年者から高齢者になると虫歯の急激な増加傾向を示します。(Swedish Quality Registry for Caries and Periodontal Diseases – a framework for quality development in dentistry. Inger von Bültzingslöwen et al. Int Dent J. 2019 Oct.)
みなさんは、これが何故だか分かりますか?
実は、歯周病になってしまい歯茎が下がると、今までは歯茎で覆われていた歯の根の部分が一部露出します。その歯の根の部分は歯の頭の部分よりも柔らかい組織で作られており、歯の頭と根の部分とでは虫歯の原因である細菌が出す酸に対する抵抗性が異なる為です。
つまり、歯の根部分は、細菌が出す酸に対する抵抗性が弱く、虫歯が進行し易いのです。この虫歯を、根面カリエスと呼んでいます。さらに、スウェーデン人の高齢者の歯の残存歯数も他の国に比べて多いこともこの根面カリエスの増加傾向を助長しています。
したがって、歯周病に罹患している歯や歯周病の治療が終了した歯は、この虫歯予防を含めた歯周病の管理•コントロールが必要となります。ですから、スウェーデンでは、虫歯専門医と歯周病専門医が協力しこのような歯周病患者さんの口腔内を維持•管理して行く事が重要になります。
歯周病でお困りの方、少しでもご自身の歯を残したいのであれば、一度歯周病専門医を受診してはいかがでしょうか。
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